擁壁工事を予定している方にとって、擁壁工事のメリットは気になるところではないでしょうか?
擁壁工事には、様々なメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあるでしょう。
今回の記事では、擁壁工事をするメリットとデメリットについてご紹介していきます。
擁壁工事とは?
擁壁工事とは、高低差のある土地などで斜面が崩れないように壁を作る工事のことをいいます。
この壁のことを擁壁と言います。
擁壁は、土留めとは何が違うのかと思われるかもしれませんが、土留めは土を留めることを言い、擁壁は土を留める壁状の物の事を言います。
この二つの単語は、意味合いが少し違ってきますので、注意が必要です。
擁壁は、一般的に鉄筋コンクリートの素材で作られていることが多いです。
鉄筋コンクリートの擁壁は、垂直にたてやすく、L字型が多く用いられている工法です。
鉄筋コンクリートの素材の擁壁以外には、コンクリートブロックの擁壁や石積みの擁壁などがありますが、石積みの擁壁は、コンクリートやモルタルなどで、石と石をつなぐなどしていないと現在は擁壁とは認められていないです。
既存の擁壁がある場合でも、擁壁が劣化していたり、現在の建築基準法に合っていなかったりする場合などは、擁壁工事が必要となってくる可能性があるでしょう。
擁壁のメリット
擁壁のメリットは、例えば、以下などが挙げられます。
- 高低差のある土地の斜面での崖崩れや土砂災害の被害をなるべく防ぐ
- 日当たりを良くする
- 劣化した擁壁などの倒壊の危険性をなるべく減らす
以下で、それぞれの擁壁のメリットについてご紹介していきます。
高低差のある土地の斜面でのがけ崩れや土砂災害の被害をなるべく防ぐ
擁壁工事は、高低差のある土地の斜面の崖崩れや土砂災害などの被害を、なるべく防ぐために行う工事でもあるでしょう。
各自治体のがけ条例などで、高低差2メートル以上ある土地の上に建物を建てる場合などは、擁壁工事を行う必要があるという条例があります。
しかし、高低差2メートル以上ない土地を所有している場合であっても、土砂崩れなどの危険性がある土地を所有している場合などは、擁壁工事を行うことも可能です。
高低差のある土地の上に家や建物などを建築すると、建物からの圧力や土に含まれた水分からの圧力などにより、斜面が崩れやすくなってしまう可能性もあります。
斜面が崩れてしまうということは、家が傾いてしまう可能性もあり、大変危険です。
高低差のある土地の上に建物を建築する場合などは、擁壁工事を行う必要があるか確認が必要でしょう。
日当たりを良くする
擁壁工事が日当たりを良くするのとどういった関係があるのかと思われるかもしれません。
自分の家の土地が隣の家の土地よりも低い場合 などは、日当たりが悪い可能性もあるでしょう。
そういった場合は、自分の土地に盛土をして日当たりを良くすることもあります。
盛土をした場合、やはり擁壁を設置する必要が出てくるでしょう。
擁壁工事は、このように高さのある土地の上に建物を建てる場合だけではなく、隣の敷地よりも自分の敷地が低い場合などに盛り土をして擁壁工事を行うという場合もあります。
日当たりが悪い場合、 家の中もジメジメしがちになってしまい、カビがはえやすくなってしまう可能性もあるため、隣の敷地よりも自分の敷地が低いという場合などは、擁壁工事を検討するのも良いでしょう。
劣化した擁壁などの倒壊の危険性をなるべく減らす
擁壁工事は、新しく家を建てる際に擁壁工事を行うこともあります。
しかし、中古の家を購入する際などにも必要となる場合もあるでしょう。
例えば、すでに擁壁が設置されている場合でも、劣化していたり、現在の建築基準法に合っていなかったりする場合などは、既にある擁壁を解体撤去し、新しく擁壁を設置する必要が出てくることもあります。
既存の擁壁が劣化していたり、現在の基準法に合っていなかったりする場合などは、そのまま放置していると倒壊の危険性が高まってしまう可能性もあります。
擁壁の倒壊の危険性をなるべく減らすためにも、 補修作業や擁壁工事を検討する必要があるでしょう。
擁壁のデメリット
擁壁のデメリットは、以下などが挙げられます。
- 倒壊の危険性がある
- 場合によっては工事費用が高額になる可能性がある
- 隣人とのトラブルが発生する可能性がある
ここでは、それぞれの擁壁のデメリットについてご紹介していきます。
倒壊の危険性がある
擁壁のデメリットは、やはり倒壊の危険性があるということが挙げられるでしょう。
地震などの災害の影響により倒壊してしまう危険性というのもありますが、 経年劣化や建築基準法に合っていないなどによって倒壊の危険性が高まってしまう場合というのもあります。
擁壁の素材が現在の建築基準法に合っているかや石の擁壁の場合はコンクリートやモルタルなどを用いて作られているかなど、すでに擁壁が設置されている場合でも確認しておく必要があるでしょう。
ヒビが入っていたり、カビがはえていたりする場合などにも注意が必要です。
ヒビの大きさにもよりますが、小さなヒビの場合は補修作業で済む場合もあるでしょう。
補修作業で済まない場合は、やはり既にある擁壁を解体撤去して新規で擁壁を設置する必要が出てきます。
解体撤去作業が発生すると新規で擁壁を設置する費用+解体撤去作業費用がかかってくるため注意が必要です。
場合によっては工事費用が高額になる可能性がある
擁壁工事は、場合によっては工事費用が高額になってしまう可能性があるでしょう。
例えば、擁壁の大きさが大きい場合、擁壁工事を行う周辺の道路が狭い場合などは高額な工事費用がかかってきやすいです。
擁壁を新規で設置する場合だけではなく、擁壁を解体撤去する際の費用も上記のような場合は高額になりやすいです。
やはり擁壁の大きさが大きければ大きいほど解体した材料も増えますし、周辺の道路が狭い場合は大型のトラックが入らない可能性もあり、小型のトラックで運ぶとなると解体した材料などを運び出す回数が増えてしまうため、時間も手間もかかりやすく高額になってしまいやすいでしょう。
中古の家を購入して既にある擁壁を解体撤去し新設する場合も、やはり大きな重機などが入りにくくなる可能性があるため、手間や時間がかかり工事費用が高額になってしまうこともあるかもしれません。
すでに擁壁がある場合でも、劣化していたり現在の建築基準法に合っていなかったりする場合などは、解体撤去作業が必要になる可能性があるため、その場合は新たに擁壁を設置する費用に解体・撤去作業の費用が追加されます。
これから擁壁工事が必要な土地を購入する予定があり、擁壁工事の費用をなるべく抑えたいという方は、擁壁工事予定の土地で行う擁壁工事が高額になりやすい場合に当てはまっていないか。
既に擁壁がある場合でも現在の建築基準法に合っていなかったり劣化していたりしていないかという点などは確認しておいた方が良いでしょう。
しかし、擁壁工事を行う場所や擁壁の大きさ、擁壁の素材などによっても工事費用が大幅に変わってくる可能性があるため、 工事費用を確認したい場合は、早めに専門の業者さんに見積もりをとるのが良いでしょう。
隣人とのトラブルが発生する可能性がある
擁壁工事を行う際には、隣人とのトラブルが発生する可能性があるでしょう。
擁壁というのは、大体隣の敷地との境界線付近に建てられることが多いため、隣人とのトラブルに発展するケースというのもあります。
自分が所有している擁壁を解体撤去したり、自分の所有している敷地に擁壁を設置する場合でも、隣の家との境界線付近に擁壁を設置・解体・撤去作業する場合は、隣の敷地に入って作業をする必要が出てくる場合もあります。
隣人によっては、工事の音や振動などが気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
場合によっては、隣人に工事中に自分の敷地内には入らないで欲しいと言われてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
こういったトラブルをなるべく防ぐためにも、擁壁工事を行う前には隣人と相談しておく必要があるでしょう。
擁壁工事が必要な場合とは?
擁壁工事は、高低差が2メートル以上ある土地を所有している場合や、道路よりも敷地が高い場合などに必要となってくる可能性があるでしょう。
高低差が2メートル以上ある土地を所有している場合というのは、各自治体のがけ条例などで擁壁を設置することが義務付けられています。
高低差が2メートル以下であっても擁壁工事が必要となる場合というのもあります。
例えば、宅地造成工事規制区域では、盛土で高さ1 メートル以上の崖を生ずる宅地造成工事を行う場合や500平方メートル以上の面積の宅地造成工事を行う場合は、自治体に許可申請が必要になると定められているでしょう。
また、急傾斜地崩壊危険区域に住宅を建てる場合は、都道府県知事の許可申請が必要となってきます。
ただし、急傾斜地崩壊危険区域に住宅を建てる場合は、擁壁工事を都道府県側が行なってくれることが多いです。
まとめ
擁壁工事のメリットは、高低差のある土地の斜面の崖崩れや土砂災害などをなるべく防ぐということだけではなく、日当たりを良くするために行うということなども挙げられるでしょう。
一方で、擁壁工事にはデメリットも、いくつかあります。
例えば、擁壁の崩壊の危険性があるということや、隣人とのトラブルに発生する可能性があるということなどが挙げられるます。
ヒビがはいっていたり、カビがはえていたりする擁壁などは劣化が進んでいる可能性もあり、崩壊の危険性が高まってしまっているかもしれないため、注意が必要です。
あと、隣人とのトラブルの発生をなるべく防ぐためには、工事を行う前に隣人と擁壁工事についてきちんと相談しておく必要があるでしょう。