擁壁工事についてのQ&A

●擁壁工事は、あまり普段聞きなれない名前の工事かもしれませんが、意外と私たちの普段生活している街などでも行われている工事になります。

高低差のある土地などで家を建てることを検討している場合などは、擁壁工事を行う必要も出てくるかもしれないです。

今回は、これから擁壁工事を行う予定がある方達にも知っておいてもらうと役立つかもしれない擁壁工事についての Q & A をご紹介していきます。

そもそも擁壁工事とは?

擁壁工事を行うのが初めてという方は、そもそも擁壁工事がどういった工事なのかあまり詳しく知らないという方もいらっしゃるかもしれないです。

擁壁工事とは、高低差がある土地に建物を建てる際などに、斜面が崩れないように壁を設置する工事のことを言います。

街を歩いていると高低差のある土地で、コンクリートなどで壁を設置しているところがあるのを見かけたことがあるでしょう。

一般的に多く見かけるのは、鉄筋コンクリートの擁壁で、他にも石を積んで出来ている石積み擁壁やコンクリートブロック擁壁などもあります。

鉄筋コンクリート擁壁は、費用が石積み擁壁やコンクリートブロックと比較すると高めですが、垂直に設置しやすく、土地の有効活用がしやすいなどのメリットもあるでしょう。

鉄筋コンクリート擁壁の中でも、L字型擁壁という工法が多く利用されています。

その名前の通り、L字型をしている擁壁で、高い方の土地の上に建物を建てる際に利用されることが多いようです。

擁壁工事にかかる費用はどのくらい?

擁壁工事にかかる費用の相場は、1平方メートル当たりおよそ3万円から10万円ぐらいです。

こちらの費用はあくまでも目安で、擁壁工事を行う場所の環境や擁壁の大きさ、擁壁の素材などによっても大きく異なってくる可能性があるでしょう。

また、擁壁工事にかかる費用は、既存の塀を撤去して新設する場合、既存の塀の解体撤去作業費用も追加でかかってきます。

解体撤去作業費用も、擁壁工事をする場所の環境や擁壁の大きさなどによって大きく異なってくる可能性があるため、一概にどれぐらいかかるかというのは難しいでしょう。

擁壁の補修費用は、1平方メートルあたりおよそ1万円から2万円程度の費用がかかってきます。

擁壁工事が高額になりやすい場合とは?

擁壁工事が高額になりやすい場合というのがいくつかあります。

例えば、擁壁のサイズが大きい場合や鉄筋コンクリート擁壁を設置する場合、擁壁を設置する場所の前面道路が狭く、通行止めをし人件費が加算される場合、擁壁工事を行う付近の道路が大型トラックなどが入らない狭い道路で小型トラックで何回も往復しなくてはいけない場合などは高額になりやすいです。

工事を行う場所付近の道路が狭い場合などは、擁壁の解体・撤去作業の際にも高額になりやすいでしょう。

擁壁工事は自治体に申請が必要?

擁壁工事は、自治体に申請が必要な場合というのがあります。

自治体に申請が必要かどうかというのは、各自治体のがけ条例が大きく影響してくる可能性があるでしょう。

がけ条例という名前は各自治体によって呼び名が異なる可能性もありますが、高低差2 メートル 以上ある土地を所有している場合は、多くの場合、自治体に申請許可が必要ということが定められています。

高低差2メートル以上ある土地と言うことですが、測定方法は各自治体によって異なる可能性がありますので、擁壁工事を予定している場所の各自治体の条例を確認する必要があるでしょう。

また、宅地造成工事規制区域で造成工事を行い、いくつかの条件に当てはまっている場合、自治体に申請許可が必要となってきます。

宅地造成工事規制区域内での造成工事で申請が必要となる場合とは、

・切土で高さ2メートル以上あるがけを生ずる工事を行う場合

・盛土で高さ1メートル以上あるがけを生ずる工事を行う場合

・切土と盛土を同時に行い、合わせて高さ2メートル以上のがけを生ずる工事を行う場合

・宅地造成面積が500平方メートルを超える宅地造成工事を行う場合

などがあげられるでしょう。

あと、急傾斜地崩壊危険区域に該当する区域で、擁壁工事を行う場合は、都道府県の許可が必要となってきます。

この場合の擁壁工事は、都道府県側が行なってくれることが多いでしょう。

擁壁工事済みの物件は擁壁工事が必要ない?

擁壁工事済みの物件は、擁壁工事が必要ないかというと必ずしも擁壁工事が必要ないとは限らないでしょう。

例えば、中古の住宅を購入した場合などは、擁壁がもとから付いているということもあるかと思いますが、設置されている擁壁が劣化していたり、ヒビが入っていたり、倒壊しそうだったりしている場合は、補修作業を行うか解体・撤去し新たに擁壁を設置する必要が出てくる可能性もあるでしょう。

古い擁壁などは、現在の建築基準法に合っていない擁壁の場合もあるかもしれないです。

擁壁がすでに設置されているため擁壁工事はしなくて安心だと思っていても、このように擁壁工事を行う必要が出てくる可能性もありますので、これから擁壁が必要な土地に住まわれる予定ですでに擁壁が設置されている場合などは、すでに設置されている擁壁を立て直す必要がないか確認しておく必要があるでしょう。

擁壁を立て直す必要がある場合は、擁壁工事の費用に追加で、解体・撤去作業の費用もかかってきます。

分譲地は土地代金に擁壁工事の費用が含まれている?

分譲地を購入する場合は、擁壁が既に設置されているか土地代金に擁壁工事費用が含まれている場合が多いでしょう。

擁壁がすでに設置されていて、現在の建築基準法に合っていなかったり、劣化していたりする場合、やはり、擁壁を解体・撤去してから新しく設置する必要が出てくるかもしれないですので、すでに擁壁が設置してある場合にも建て直しが必要ないか確認が必要です。

あとは、擁壁の設置が必要な分譲地を購入する予定がある方は、土地代金に擁壁工事費用が含まれているかどうか事前に確認しておくことが良いでしょう。

擁壁工事のメリットは?

擁壁工事のメリット は、高低差のある土地での斜面が崩れにくくなるということや日当たりの確保につながる可能性があるということなどでしょう。

やはり擁壁工事というのは、高低差のある土地の斜面のがけ崩れや土砂災害などの被害をなるべく防ぐために行う工事でもありますので、 高低差のある土地の上に建物を建てる場合などには重要な工事になってくるでしょう。

また、隣の家の土地よりも自分の所有している土地が低くなっている場合などには、日当たりが悪くなってしまっている可能性もあります。

悪い日当たりを解消するために 、盛土をして土地の高さを高くするという場合は、擁壁を設置する必要が出てくるでしょう。

擁壁工事は、高低差のある土地の斜面を崩れにくくするように行うだけではなく、悪い日当たりを解消するために行う場合などもあるかもしれないです。

まとめ

擁壁工事は、高低差のある土地に家を建てる際に新たに擁壁を設置するという場合もありますが、中古の家に擁壁がすでにあるという場合などにも擁壁工事を行う場合はあるでしょう。

既にある擁壁が劣化していたり、現在の建築基準法に合っていなかったりする場合などに、新たに擁壁を設置する必要が出てくる可能性がありますが、その場合は、新たに擁壁を設置する費用に追加で擁壁の解体・撤去作業費用もかかってきます。

擁壁工事の費用や擁壁の解体・撤去作業の費用は、擁壁工事や解体作業の内容や、工事を行う場所の環境などによっても大幅に異なる可能性がありますので、詳しい費用を確認したいという場合は専門の業者さんにお見積を確認するのが良いでしょう。

また、擁壁工事を行う際には、費用についてだけではなく、自治体に申請が必要かというのも確認しておく必要があります。

自治体に申請が必要かどうかというのは、擁壁工事を行う場所が宅地造成工事規制区域なのか、急傾斜地崩壊危険区域なのか、またはその他の区域なのかを確認する必要があるでしょう。